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国際刑事裁判所・設立への動き


 米国のテロへの報復行動に対して、国際刑事裁判所・設立への動きが浮上しています。関連情報を、鈴木わかばさん(ベルリン在住)からいただきましたので、以下、情報を皆さんと 共有したいと思います。

古沢広祐

 今度の事件の犯人を裁判にかける際、その裁判所が必要になりますが、現時点で国際レベルでの犯罪を裁判する機関はありません。しかし、「国際刑事裁判所」という組織を発足させようという動きがあります。アメリカは署名したものの批准せず、日本は署名も批准もしていないというのが現状です。
 これは、
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=NW&action=m&board=1143582&
tid=bpjfa4lla5fa5m &sid=1143582&mid=74291

にあるように、アメリカ政府が自分たちの不正義を裁かれないようにするため(沖縄のアメリカ兵婦女暴行事件など)というのが理由のようです。恐らく、日本に対しても批准しないよう圧力をかけていたでしょう。

 原文は、以下にあります。
http://www.igc.apc.org/icc/html/country.html#United%20States
 今までの経緯は良しとして、今後このような事件が発生した場合のことも考え、これを機会に全世界が「国際刑事裁判所」に批准し、その権限でもって国際テロに立ち向かう姿勢を見せることこそ、将来にわたる最大の抑止力に繋がっていくと信じたい。

鈴木わかばさんより(転載許可)。

1.国際刑事裁判所の非批准についての米国の見解
(qwery999)

2001年5月8日:トム・ドゥレイ下院議員により、「Foreign Relations Authorization Act(対外政策権限委託法)」の改正案として、対ICC法案である「American Servicemembers' Protection Act (ASPA:兵士・議員・政府職員保護法)」法案が下院に提出される。翌日、ジェシー・ヘルムズ上院議員により同一の法案が独自の案として上院に提出される。両案とも昨年提出されたものと内容が似ている。

2001年5月10日:下院で[ASPA]法案の審議および採決が行われ、282対137で法案が可決される。

2001年8月1日:ASPAの修正案として、ICC条約批准に前向きな条項が盛り込まれていた「The American Citizens' Protection and War Criminals Prosecution Act of 2001(2001年米国市民の保護および戦争犯罪人の起訴に関する法律」法案が上下両院に提出される。

2001年9月10日:しかし、ラリー・クレイグ(共和党、インディアナ選出)上院議員により、合衆国のPrepCom[国際刑事裁判所に関する準備会合]への参加を禁じる「Commerce, Justice, State and the Judiciary Appropriations Bill(商務、司法、国務および裁判所に関する政府歳出予算法案」が上院に提出され、可決されてしまう。

2001年9月26日:ジェシー・ヘルムズ上院議員により、「Department of Defence Authorization bill(米国防総省権限委託法)」の改正案として、修正されたASPA法案が上院に再提出される。

2001年10月2日:[上院で]"討論終結" の動議が提出され、[ASPA法案]改正についての論議が終結させられる。しかし、この法案はまた他の法案の改正案として提出されると見られている。

ブッシュ政権は現在政策を見直し中で、修正されたASPA法案への支持を表明している。

前[クリントン]政権も、ローマ条約の特定な部分に対しては懸念を表明していた。1つ目の、占領勢力による占領地への人口移転に関する戦争犯罪(第八条 戦争犯罪、第A項、段落(a)、副段落(xiii))の問題については、その大部分が解決された。第3回PrepCom(国際刑事裁判所に関する準備会合)で合意に至り、第5回で採択された内容が、条項がこの犯罪に関する現状の国際法に適っていることを明確に示している。いくつかの国は、合衆国と同様の懸念を示した。

2つめの問題は、第12条第3項(非締約国による管轄の受託)において、非締約国がすべての犯罪的状況ではなく、1個の犯罪としてICCに告訴できるとされていることだった。すなわち、一連の戦争犯罪に関わっているとされる首謀者が、その犯罪に関わる自分以外の人物を告訴できるようになってしまうのが問題であるという認識で一致したのである。そこで、PrepComでは非締約国でもICCの全管轄を受託しなければならないとすることで合意した。

したがって、ローマ条約に対する合衆国の異議は、現在では1つの点に集約されているといえる。それは、条約を批准するまで、合衆国の軍及び政府関係者を裁判所の管轄外に置く、というものである。このような免責権をICCのPrepCom(国際刑事裁判所に関する準備会合)で獲得することが、前政権の優先事項の1つであった。にも関わらず、クリントン元大統領は2000年12月31日の期日直前に条約に署名した。だが、署名時には、前出の懸念材料を考慮した上で条約に「重大な欠陥がある」ことを指摘し、合衆国の主張をICC内部で検討することを示唆したうえで、合衆国が未だ批准する段階にないことを宣言し、後継者[現ブッシュ大統領]に対して、上院への提言を行わないようアドバイスした。

ブッシュ新政権は確実にクリントンの意を引き継ぎ、前政権よりもさらに強硬な姿勢でICC問題への対処についての政策批評を進めている。情報によれば、全世界的な「非批准」キャンペーンの一環として、署名の撤回を推進しようとする動きすらあるという。ブッシュ政権は3月のPrepComへの欠席を表明し、条約について再検討を進めていることを明らかにした。欠席の理由については、国連の交渉の場でICCについて討議を進めて合衆国側の主張が受け入れられたことがないことなどを挙げた。

しかし、9月24〜10月5日までの第8回[PrepCom]会合ではより多くの代表団を引き連れ、ICCの資金面について高官レベルでのアグレッシブな議論が交わされた。

現状におけるICC問題への対処についての内部政策批評の状況は、特に合衆国が国際テロに対する協調体制を構築しようしている中では、依然不透明である。

批准/施行プロセス:

合衆国憲法では、大統領が条約の批准を上院に提案し、上院よりその提案についての”助言と同意”を得ることが定められている。上院では3分の2の投票により承認されなければならず、大統領はこの承認を得てはじめて批准を完了することができる。

大統領と議会は、合衆国がローマ条約に規定される義務を承諾するのは、施行法案が制定された場合にのみである、という見解で一致する見通しが高い。

したがって、上院は施行法案が制定される確証なしでは”助言と同意”を付与しない可能性が高い。すなわち、大統領は上下両院と協議する必要があるということだ。旧ユーゴスラビアおよびルワンダの特別法廷のように、議会がICCの設立に意欲的であれば、施行法案は早期に可決される見通しが高い。

「The CICC International Criminal Court」による説明 http://www.igc.org/icc/html/coalition.htm

「国際刑事裁判所問題日本ネットワーク」による説明 http://member.nifty.ne.jp/uwfj/icc/ICC06.htm

2.国際刑事裁判所設置の実効性を認めない人に対する反論
(etranger3_01)


 spkichiさん、たしかに今回の提案が首相官邸にまで届いたとして、現在の問題・展開・状況に対応するための現実的対応とはいえないでしょう。
 しかし、アル・カーイダは全世界50カ国以上に20以上もの武装グループを展開させています。アメリカが今回の作戦で仮にビンラディンの身柄の拘束に成功しても、なおさら、指導者解放に向けて全世界での同時多発テロが発生する可能性が高まるでしょう。そのとき、「世界の警察」であるアメリカは各国との足並みを揃えながらこれらのテロを未然に防ぐことができるか?不可能でしょう。
 見てのとおり、アメリカは国内の防衛の強化および司法組織の総動員により、連邦法に基づいた国内操作を進めています。しかし、現在のところ国際警察機構であるICPOL(インターポール)が世界各国で足並みを揃えてテロ組織の一斉検挙に動き出しているという動きについての情報は入りません。

 これがどういう意味かわかりますか?
 いまの作戦は"長期的"にみてなんら解決にならない可能性が高いということです。そうした長期的な(悲観的な)展望のもとの提案だと受け取っていただければ幸いです。今後、アル・カーイダ・グループによるテロ活動が世界でどれくらいの期間にわたって、どれくらいの規模で行われるか、誰にもわかりません。しかし現在アメリカがとっている目先の安全を確保するための戦略では、全世界のテロを撲滅することなど不可能なのです。

3.国際刑事裁判所実現運動の趣旨
(qwery999)

 今回の同時多発テロ事件が起きてから、国際テロリズムに対抗するのに、被災国主導で制裁を加えることには賛成でも、その手順や方法について、ちょっと強引な感じを受けた方がいらっしゃると思います。また、その強引さに反発して、アメリカの制裁に反対されている方もいることでしょう。
 僕は国際法や刑法に関しては何の知識をも持ち合わせておりませんが、このような世界規模の犯罪が発生した場合、それを国際世論のコンセンサスに基づいた場所において裁かれるべきではないかと思うのです。そうでなければ、巨大な軍事力を持った大国が仮に暴走したとしても、それを抑える手立てがなくなってしまいます。
 本来ならば、このような国際法廷の場は、もっと前から作っておくべきだったと思っていたのですが、ちゃんと国際連合主導のもとで「国際刑事裁判所」というものを設立しようという動きがありました。ところが、アメリカは先の資料にもありますように、自分たちの国家警察としての役割を譲らなければならなくなることや、自国の不正義を裁かれることを嫌い、署名後の批准を拒んでいるようです。
 恐らく、今度の事件が起こらなければ、このまま批准を拒否し続け、国際連合の存在意義をさらに薄くするよう働きかけるようになったことでしょう。
 ところが、今度の事件を契機に、アメリカはいやでも国際協調を図らなければならなくなりました(国際連合への滞納金も支払うらしいですね)。アメリカが批准するタイミングは今しかないと思われます。
 そこで、日本が「国際刑事裁判所」批准に前向きな姿勢を示すことで、国際世論に働きかけ、実現に向けての一歩を踏み出して欲しい、という願いからこの活動を始めました。
・・・というのが、表向きの趣旨です。


 個人的には、ネットワークを使った市民レベルの活動が、本当に政府に働きかけが出来るのか。小泉首相が言っている国民との対話が本当に出来るのかを検証したいという気持ちがあります。
 日本でも、「国際刑事裁判所」を実現すべく活動している団体があります。それは我々がこのような事件によって関心を寄せる以前から活動されておられます。ですが、国民のコンセンサスを得るまでには至らず、今に至っているのだと思います。
 ですから、この事件を機に国民世論を盛り上げ、国会の場で真剣に法整備を行っていただくよう、働きかけを行えたらと思ったわけです。Yahoo!Japanは日本最大のポータルサイトですし、その中のこの掲示板は、いま多くの方々が着目されておられる掲示板ですからね(^^)。
 少しでも多くの方々のご賛同が頂けたら幸いです。

「国際テロは国際法廷の場で裁こう」”資料館” http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/9012/


4.最後に私の感想

実現は難しく、今回のテロには即効対応できないのではないか。もし、イスラム原理主義の、不倫は投石による死刑、窃盗は手足の切断というようなことを受け入れず、西側の基準だけで、議論なく設置するのならば、新たなテロを呼ぶのでは。今の段階ではアメリカ、NY州の法律によって裁くのがよいのだろうか、と思っています。 PS1.米国の掲示板は、ブッシュは臆病者というような投稿が目立ち、日本やドイツと掲示板内容傾向が異なってます。

2.前回の、ビンラーデンという現象は村上龍の経済・金融のHPから転載したものです。他には、米国で志願兵殺到(詳細説明なし)というような記事がありました。

3.ベルリンではテロ翌々日にテロ犠牲者の追悼がブランデンブルク門周辺を車両通行禁止にして、大々的に行われました。(一部は学校、会社が休みになり)涙をながしている人も何人もみかけました。家の隣人は2日にわたり、大音響で "Gad bless America"で聞いてました。

 きのうのベルリン・マラソンでは、米国、仏、独からの参加者などで、平和の意見広告を書いて走っている人々や、アメリカとアフガニスタンの旗をたてて走る人などがいました。

鈴木 わかば

                                               


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